新しい冷蔵庫を買った。

新しい冷蔵庫を買った。冷蔵庫の平均的な寿命は8〜10年だって。知ってます?私は知らなかったので大学入学以来20年以上同じ冷蔵庫を使っていた。サンヨーという(今や存在しない)メーカーの、上に電子レンジが載せられるような、小さなかわいい山吹色の冷蔵庫だった。

山吹サンヨーは20年ものあいだ私の貧相な食生活を支えてくれていたが、新たに迎え入れたパナソニックの冷蔵庫は私より身長が高く、いかにも冷やしまっせと言わんばかりの黒々とした無機質な外観で、数10分であらゆるものを凍らせますし全自動製氷機もついてます、何より電気代はあなたが今まで使っていたヤツの3分の1ですよと、山吹色のサンヨーが聞いたら心底震え上がるような、なにひとつ山吹サンヨーが勝てるポイントなどない、山吹色でない事以外は完璧な冷蔵庫だった。

山吹サンヨーとさよならした途端に、今度は10年使ったテレビが壊れて、一方でこちらも10年使った洗濯機が壊れた。「テレビなどあまり見ないし、いらないよねぇ!!」というセリフは自称センスあるクソダサ一般人がよく言ってますが(私も言っていた)、今のスマートTVはマジですごい(語彙力)ので電気屋行って触ってみて欲しいし、洗濯機も10年経てば色々進化していて「乾燥フィルターの掃除してくれてありがとう」とか色々喋るし、いったい何なの2020。

そんなわけで2020年は我が家の家電が急激に近代化を果たした。

「新しさ」は紛れもなくエンタテインメントだ。だけど私の情緒は、山吹色の小さな冷蔵庫みたいなものの方に、どうしても揺れ動いてしまう。「新しさ」は陳腐化するけど、そのものが持っている本質は古くならない。私にとって冷蔵庫というものの本質は「高校生の時の私の若い感性が選んだ、山吹色」という事だった。

私はずっと、生活に一番必要ないものは音楽だと思っている。お金や食事や愛は人を生きさせるが、音楽はそれをできない。服や住まいは人を守るが、音楽はそれをできない。できない事ばかりの音楽を愛する理由のことを考えていたら、業者に運ばれてトラックに詰め込まれるあの山吹色の冷蔵庫がふと頭に浮かんだ。音楽はなにもしてくれないけど、思い出を愛するのに似てる。

思い出を愛するように愛せるのは音楽だけで、それを作ることが出来てよかったのか悪かったのかわからないけど、この感覚をどこかに記しておきたくて今年はYouTubeに曲をたくさんアップしているので、ぜひ聞いてみてね。

今年も私と出会ってくれて、私の音楽を愛してくださってありがとうございました。2021年はいっぱいリリースがあるように頑張ります!(調べたら4曲しかリリースされてなかった、今年w)

0コメント

  • 1000 / 1000