人は生まれてそしてきっと誰かを愛してそしていつか死んでゆく

Twitterのリプライを見ていると、何か前回のブログで色々とご心配をおかけしたようなんですが(笑)、私は至って元気ですし大丈夫です。元気すぎてもりもりごはんを食べすぎて、体重がまた増えてしまいました。知人からはストレートに「デブったね」とか、気を使って「大きくなった?」とかよく言って頂くのですが、こないだちょっとかわいい女の子に「体型がAV男優みたい」って言われてちょっと興奮した私の気持ち悪さ、どうですか?えぇ、えぇ。(揉み手)

それはさておき、もう1年も終わりですね。自分のフェイスブックを見返してみると、例年にないお酒の量で我ながら引きました。飲んだなあ。飲み過ぎ。友達とも飲んだし、アーティストさんとも楽しく飲む機会増えたし。私、20代はまったくお酒飲めなかったですし、アルコールの味そのものが大嫌いだったんですけど、30歳になって突然飲めるようになっちゃったんですよ。で、年々飲む量が増えてる。そして多分私はアル中とかになってあっけなく死んじゃうんだと思うんですが、その時を安心して迎えるために、私は今のうちにたくさん音楽を作ったり聞いたりするんです。

というわけで毎年恒例、今年よく聞いた邦楽を10曲選んで貼ってまいりますので、よかったらお付き合い下さい。長文となっておりますので、お暇な時にでもどうぞ。(海外楽曲プレイリストはキリがないのでそのうちSpotifyのプレイリストURLをどこかでシェアします)


CICADA / Door

今年偶然見つけて、いけてる!と思ったバンド。往年のACOのような粘着性の色気あるボーカルとオーガニックなトラックがゆらゆらゆらめいて、ひたすら気持ち良く、適度に荒削りなのも好き。


星野みちる / 夏なんだし

HIPHOP(ブラック・ミュージック)と渋谷系はオールドスクールな音楽をリサイクルして新たな付加価値を添えるという点では同じと言えるけど、そのコンテクストが全く違うんです(松尾潔さんもおっしゃってましたけど)。

で、私は松尾さんとは正反対の見方なのですけど、この渋谷系近辺の人たちが仕掛けるあっけらかんとした引用がとても大好きなんですよねえ。コラージュというか、感覚的というか、衝動的というか。こんな風にライトなニュアンスではっぴぃえんどを引用する人、小西さん以外に考えられないでしょう。しかしなあ、星野みちる、「私はシェディー」も好きだったけど、もうちょっと売れたらいいのになあ。


星野源 / Weekend

星野源 / SUN

(星野さん&渋谷系つながりみたいになっちゃった)星野源さんは絶対ブラック・ミュージックが大好きだと思うんですけど、あくまで「私の立ち位置はJ-POPですよ」という立場が明確で、J-POP好きな人からもブラック・ミュージック好きな人からもあらあらうふふと愛される、優しい世界が出来上がってますよね。

特に"SUN"はアフターフックでいきなり黒くなってビックリするんだけど、でもそこでいわゆるブラック・ミュージックの歴史や系譜がどうとかいうアカデミックでカビ臭い行動様式を感じさせない、(先述の)渋谷系的「好きだからやりました」というあっけらかんさが私は本当に大好きです。タモリ倶楽部やバナナムーン(この曲日村さんのバースデーソングなんだよオリジナルは)に出たりするサブカル的な立場からも良い攻め方をしており、ただただ、ずっちーなぁ。(©日村さん)


I Don't Like Mondays. / FIRE

先ほどの3曲とは比べ物にならないほどの「好きだからやりました」感はむしろヒヤっとさえさせられるけど国産オシャレミュージックとして何も考えずにどっぷり浸るのが吉。こんな音楽性でメンバーがこんな顔面(イケメン)とかもう私にしたら全てがキラキラしすぎていて恐怖すら感じさせる。こんなオジサンが聞いて本当にごめんなさいという謙虚な気分で聞かせて頂きましたアルバムもとてもグルーヴィで好きでした。こういうバンドあと5つくらいメジャーで増えればいいのに。


黒川沙良 / ガールズトーク

Full Of Harmony / DREAMER

この2曲はMANABOONが手がけているのでまとめて。80年代生まれで20代にほどよくクラブ遊びしてた連中は全員好きでしょう、こんなの。私にはこのニュアンスが非常に懐かしく青春時代とかノスタルジーとかいう感情からの愛着なんだけど、若い人はこういうのをどう受け止めるのだろう?私は想像つかないけど、願わくばこういうのがカッコいいって思ってほしいなあ。特にFOHの曲、こういうスロウジャムでこそ、日本の男女は踊るべきだと思うの。

そう言えばMANABOONは今年だとw-inds.の"I'm all yours"なども良かった。こういう私の青春スポットをツンツンつついてくるこれら一連の曲を「おじさん課長を誘惑する小悪魔受付嬢的R&B」と名付けることにする。(なにそれ)


tofubeats / POSITIVE feat. Dream Ami

トーフさんのセンスが素晴らしいというのは今さら私が言及するまでもないのですが、YouTubeのコメント見てるとフィーチャリング・アーティストがヤダとかいう意見が結構多くて(ていうかそういうことコメントしてる人ってトーフさんの楽しみ方としてはズレてるよなあ)、それは私は意外でした。もちろんトーフさん自身が歌うDEMOバージョンもステキなのですが、私この曲の場合はAmiちゃんのボーカルの方が好きで、tofubeats史上デモよりリリースバージョンが好きだわという稀有な例でございました。

Amiちゃんのボーカルって竹中直人さんの「笑いながら怒る人」みたいって言ったら語弊あるけど、元気いっぱいキラキラ笑ってる歌声の奥底に、何か計り知れないサイコな剥き出しの感情が眠っている感じがあって、それが何かポップ・ミュージックというフォーマットからズレるくらいのニュアンスで顔を覗かせているのが私としてはグッと来てしまうし、その采配を最終的に(たぶん)下したトーフさんもスゴイなと思ったりしているのでございます。これは歌唱力がどうのとか声質がどうのとかいうそんな低レベルなスモール・トークではなく、Amiちゃんが生まれ持った天性のセンスだな。「未来には期待したいし」の歌い方がもう、なんかすごいです。これは分かってくれる人だけが分かってくれれば良いです。

念のためですが、あの、これ全体的にものすごく褒めてます。(言葉尻だけ拾って文脈読まない人向けのフォロー)


KOHH / Glowing Up Feat. J $tash

私HIPHOP好きだけど日本語ラップ聞かないので、という人こそKOHH氏を聞いてみたらいいのにとか思うんですけど、私がKOHH氏を好きな理由は、いわゆる「日本語ラップ村」的な旧態依然の鬱屈したシステムから頭ひとつ飛び抜けたところにある。

ヒップホップというのはジャンルとして世界でメインストリームに上がってから既に30年〜40年(諸説ありますが)くらいの歴史が経っていて、その様式(ファッションやサウンドの原理性)というものが少しずつ形骸化しながら、生き方やライフスタイルといった「心の持ち方」みたいなところに少しずつシフトしながら集約されてきている。これはジャンルとして成熟した「ロック」と同じで、「ロック」をサウンドや歌詞だけで表現することが既に難しいのと同じように、ヒップホップだってもはや様式や習慣を守ることが必ずしも美徳とは限らないという風に変わってきているんではと。

ただ日本の場合は「日本語ラップ村」みたいな共同体がいつの間にか出来上がっていたという特殊なシチュエーションがあり、その中で暮らす事が善とされる見方や系譜へのリスペクトが最も重要だとする説などもあり、なかなかややこしくて私はその辺のことはよく知らない。(知らんのかい)

とりあえずそれだけヒップホップというものが人類の音楽文化に定着したという中で、じゃあ次はどんなアプローチが面白くてカッコいいのかという試行錯誤が本拠地アメリカを中心に最近はヨーロッパも巻き込んで行われてるわけだけど、KOHH氏がそれらと全く同じステージで、しかも自らの「心の持ち方」を武器として追求している(ように私には見える)事が、本当に素晴らしいという言葉以外で表現できないのですね。


KLOOZ / City Light

これは前述のKOHH氏とは正反対な感じですが、こういうのも今年は聞いてました。どこが正反対かっていうと、こっちはジャンルとしての様式美にどっしりと重心を置いている作品だという点です。

LidoとかCashmere Cat的な音楽性を日本のポップ・ミュージックに落としこむ場合、いわゆるR&BやHIPHOPなどアーバンミュージックの「っぽい」様式美をなぞるだけではなく、それらのメロウネスと真逆の性質を持つダンス・ミュージックとしての展開の機微をしっかり理解していないと、どっち付かずでとっ散らかるのですよね。とっ散らかるっていうか、何か別物の変で滑稽なものになる。「とりあえずLido流行ってるしフューチャーR&Bやってみましょう」と日本のいくつかのアーティストたちが大事故に遭って死屍累々の凄惨さは見るに耐えませんでしたが、そんな中この楽曲は唯一サバイブした成功例だなと思うのです。

若干22歳、ANNE beats (aka Dirty Orange) 氏の手腕がキラリと光る素晴らしいトラック。


椎名林檎 / 長く短い祭

椎名林檎って2〜3年ごとに街でばったり会う元カノみたいな存在感あるよね〜。お互い勝手知ったる官能の世界を一瞬だけ甘く脳裏に想起するけど、実際深入りすると色々大変になっちゃうだろうし、あ〜〜〜どうしよう、みたいな感じあるよね〜。ねえか。ただそれくらいの頻度で「どうせお前はこういうFUNK R&Bみたいなの好きなんだろ」っていうのを出してくるというのはあると思います。能動的三分間とかさ。


滴草由実 / All My Life

この楽曲の歌詞が象徴する「無難な道へはいきたくなくて」とか「もう周りに合わせ比べる必要はない」などのステイトメントというのは、つまりは「私、別に売れなくても良いです」「自分の好きな事やりたいんで」という事で、それらをテーマに掲げる事でともすればものすごくイヤ〜〜なものに仕上がるケースを良く見るのですが、彼女の場合はそれが逆にとても好感触な方向へ作用していて脱帽してしまう。あと、この曲がビーイングから出ているというのもビックリした。時代って変わるんだなあ。


…あ、いつのまにか10曲超えてる。笑

今年問題になったオリンピックロゴ問題で、「件のロゴとベルギーの某ロゴは、構成している要素が違うから、構造上まったく違うものである」という論説(こちらからどうぞ)があって、それは実際の盗作の真偽とは別のところで、セオリーとして「なるほど」といやに納得しておもしろいなあと思ってしまった自分がいた。

たしかに、音楽でもダンス・ミュージックをあまりよくしらない人やはR.Y.U.S.E.I.とSummer Madnessをドロップの存在やシンセの質感などで感覚的に「同じ曲」と乱暴に片付けるだろうし(実際言われるw そういう時は「あはは」と愛想笑いします)、R&Bのお約束知らない人はお決まりのアドリブとかビートのキメなどを安易に「パクってる」って言ったりするのだろうという事は用意に想像つく。でもまあ、それはジャンルやトレンドを示す記号であり「お約束」だったりして、その「お約束」をニヤリと味わうという円熟した楽しみ方というのがあるっていう。ただ皆がこういう「お約束」みたいなのを知ってるだろうという前提でものづくりしちゃうと齟齬が起きる場合があると。

で、そういう「お約束」が日本のエンタメ界で唯一成立するのはお笑いだけなんですね。日本のお笑いはスゴイよ。立体的なレーダーチャートがあるとしたら、前後上下左右、まあるく全てのカテゴリーを網羅してると思うし、それに対応する需要もあって、こんなに多様性のあるエンタメは世界でも類を見ないと思う。でも音楽やアートやファッションは、もっと成熟できる余地がありそう。お笑い以外のジャンルで「その世界のお約束」込みで何かをマス向けに表現するのがリスク高くて、そのまま50年くらい経っちゃってる感じは確かにあるなあって、音楽に限らずカルチャー全般を見てると思うんですね。っていうかお笑いがすごすぎる。私お笑い好きすぎか。

というわけで、みんなもっといろんな音楽聞いたりいろんなアートに触れたりいろんなお洋服を試したりしてみたらもっと人生カラフルになって楽しいと思うんですよ。だからこんな記事、1日かけて書いてるわけですし、お気に入りの曲があれば #NowPlaying のタグと共にTwitterに書いたりしてるわけです。あはは。

2015年も残りわずか。大好きな音楽に1曲でも多く出会えますように。

(追記)タイトルはPizzicato Fiveの「華麗なる招待」から引用しました。

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